今月の逸品

過去に展示した今月の逸品

束の間のモダンライフ

トン トン トンカラリン と隣組

格子を開けば 顔なじみ

廻して頂戴 回覧板

知らせられたり 知らせたり

「隣組」 作詞 岡本一平

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碗、急須、化粧道具、ガラス管、真空管、骨董品(塼)

大正時代末~昭和時代初期(約100年前)

長崎一丁目周辺遺跡(豊島区長崎)

豊島区長崎周辺が宅地として拓けはじめたのは、大正~昭和初期の頃。近傍のアトリエ村には芸術家達が集い、文化の香る地域が出来上がりつつあった。展示は高級磁器の化粧道具や当時大学卒の初任給より高かったといわれるラジオ用の真空管、骨董品と思われる新羅の塼(古代のレンガの一種)や、画家岡本一平絵付けの急須(朝日新聞社のノベルティ)に手製のガラス器具。これらの持ち主の素養の一端を表している。しかし、同じ岡本一平が作詞した戦時歌謡「隣組」の歌詞が書かれた子供茶碗が示すように、すぐに戦争の暗い影が忍び寄ってくる。これら展示品も、間もなく被ることになる空襲後の整理によって、すべて捨て去られてしまうことになるのだ。

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