今月の逸品

過去に展示した今月の逸品

掘り出された"恐怖の大王"

Du ciel viendra un grand Roy d'effrayeur,

空から恐怖の大王が来るだろう

Resusciter le grand Roy d'Angolmois...

アンゴルモアの大王を蘇らせ...

ノストラダムス『百詩編』第1072

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集束焼夷弾E46ノーズブロック

1945年(昭和20)4月12~13日

豊島区長崎一丁目周辺遺跡

この鉄塊、何かお解りだろうか。直径約36cm、重さ32㎏強もあるこの円盤の正体は、米軍のクラスター弾先端に取り付けられた錘。大戦末期の昭和204月、城北一帯を焦土と化した空襲の際、B29から投下されたものである。この錘と尾部のフィンで爆弾の姿勢を制御し、地上2000フィートで38本のM69油脂焼夷弾を散開させる。あたかも、空からやってきた"恐怖の大王"のように... 同遺跡から出土している焼けただれた瓦、食器、目覚まし時計などが、一発でも広い範囲を焼き尽くすこの爆弾の凄まじさを物語っている。

空襲から間もなく79年。見渡せば未だ戦火の絶えないこの世界に再び姿を現した大王の骸は、私たちに新たな警鐘を鳴らそうとしているのかもしれない。

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