東京都埋蔵文化財センター

発掘トピックス詳細情報

染地遺跡

よみがなそめちいせき
発掘場所調布市染地三丁目
主な時代弥生時代 古墳時代 中世以降

遺跡の特徴

染地遺跡(調布市No.49遺跡)は多摩川中流域左岸の沖積低地に立地し、調布市染地二丁目から三丁目にかけて約360,000平方メートルにわたって広がります(図1)。

昭和41年以降に複数の地点で調査が行われており、古墳時代から奈良・平安時代を中心とする大規模な集落遺跡だと考えられています。

今回発掘調査を行った第128地点(約6,500平方メートル)は、その東端付近に当たります(図2)。


図1 染地遺跡の位置


図2 染地遺跡内での今回調査地点位置

トピックス

 今回は令和元年8月から令和3年2月まで発掘調査を行っていた、染地遺跡第128地点の概要を紹介します。この第128地点は広大な染地遺跡の東端付近に位置しており、約6,500平方メートルを対象に調査しました。その結果、弥生時代後期から古墳時代後期(およそ1,800年前から1,400年前)にかけての住居跡が74軒見つかったため、ここに当時の大きな集落があったことが分かりました(写真1)。

住居の中からは、日常生活で使われていた弥生土器・土師器・須恵器のほかに、石で出来た勾玉・管玉・臼玉や、ガラスで作られた小玉といった装飾品も出土しています(写真2)。さらに、調査地点の中央には東西方向へ伸びる浅い谷のような場所があり、その底に近いところからは建物に使われていたと考えられる木材や木製品(梯子)が多く出土したことに加えて、小銅鐸と呼ばれる、全国でも60点程度しか確認されていない貴重な出土品も見つかっています。

この小銅鐸は、ほとんど錆びることなく、赤銅色を保った状態で発見されました(写真3)。木材や金属製品は、通常であれば地中で腐食して失われてしまうのですが、染地遺跡の場合は低湿地に位置していることが幸いし、水や泥によって出土品が守られていたのです。

本地点からはその他に、縄文時代晩期の石器や土器、平安時代の住居跡や墨書の残る土器、中世以降の陶磁器や銭貨等、古い時代のものから比較的新しい時代のものまで幅広く見つかっていますので、この土地は長きにわたって人々の暮らしに利用されていたと言えるでしょう。

現在は調査で得られた情報の整理作業を進めておりますので、また新たな発見があり次第、随時お知らせしていきたいと考えています (2021年3月現在)。


写真1 染地遺跡空撮 丸みのある住居跡
は弥生時代、四角い住居は古墳時代の住居跡


写真2 出土した古墳時代前期から後期の土器


写真3 小銅鐸(約3.7cm×約2.2cm×約2.0cm)